あたりまえブログ

凡事徹底をテーマにしている中小企業の後継者が「大学時代の自分に伝えたいこと」を書いています。

MOROHAが『MOROHA Ⅳ』で確かめた真相は「果てなき矛盾」

「MOROHAの登場は事件だ」と曽我部恵一が評してから10年が経った。

 

当時はじめて聴いたときの衝撃を今も鮮明に覚えている。

 

当時の私が想像したよりも緩やかだが、着実にMOROHAの存在感は増している。曽我部のROSE RECORDSを離れ、メジャーへ行き、今やTV番組やCMにも見る日も増えた。

 

昨年の1月、アフロは次のように語っていた。

 

昨日発売された本作は、その約束の2枚目だ。彼らが掴んだ真相とは、どんなものだったのか?

[目次]

 

収録曲

収録曲は次のとおり。ここでは太字の4曲を取り上げる。

【収録曲順】
01.ストロンガー
02.上京タワー
03.遠郷タワー 
04.米
05.拝啓、MC アフロ様
06.スタミナ太郎
07.夜に数えて
08.いくつものいつもの 
09.うぬぼれ
10.五文銭

MOROHAのファンであれば、MVやライブなどで既に聴いている曲も多い。

 

2つの変化

以前と比べ、MOROHAの歌詞に大きな変化が生まれたと感じた。つまりは、歌詞を書いているアフロの中に生じた変化だ。

 

「ラップ抜きで惚れてくれた彼女」との別れ

MOROHAの歌詞の中には、「ラップ抜きで惚れてくれた彼女」という人物が時おり登場する。

 

恩楽

初めて登場した『恩楽』では、結婚願望のある彼女に怯えながらも、次のように語られていた。

ベタな話、音楽と私、どっち?

の問いに対し 仮に音楽を取ったとして、

俺に歌える歌はあるのかな?

ふり変えればルーツは子守唄

いつかは彼女とともに歌う

そのために どっちも離さない

「絶対売れる!」あえて言い切る!

ラップ抜きで惚れてくれた彼女

じいちゃん ばあちゃん

姉ちゃん 父ちゃん 母ちゃん

「音楽」より大切な人

「恩楽」で幸せにしたい

 

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MOROHA [ROSE-110]

MOROHA [ROSE-110]

 

やがて、その願いは届かないものになる。その事実を、私たちは『バラ色の日々』や『tomorrow』で理解してきた。

 

バラ色の日々

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上京タワー / バラ色の日々

上京タワー / バラ色の日々

 

tomorrow

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MOROHA III

MOROHA III

 

拝啓、MCアフロ様

その別れを具体的に書かれたのが、本作収録の『拝啓、MCアフロ様』だ。

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この10年でMOROHAが売れていく過程で、アフロは(恐らく)"ラップ込み"で惚れてきた女性と浮気をし、それが彼女に見つかり、別れを告げられる。

 

私はこの別れを「売れていく中での成長痛」だと感じたが、この別れがアフロの心に大きな変化をもたらす。

 

少しずつ満たされていく自分 

この彼女と別れて以降(おそらく『バラ色の日々』以降の作品)、それまで周囲へむき出しにしていた敵意や不信感を、アフロは己に向けるようになった。

 

それは、売れていく過程での「満たされていく自分」と向き合わなてくてはいけなくなったからかも知れない。

 

10年前は友人にも「(ライブに)行けたら行く」とはぐらかされ、フジロックに出れない悔しさを原動力にしていたMOROHA。

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彼らも今やフジロックにも呼ばれ、LIQUIDROOMZepp Tokyoも埋めてしまった。

 

初回限定盤についているDVDでは、武道館もアリーナも「通過点」と吠えたが、自分自身でも昔のように疑いもなく、信じ切れないのかもしれない。遠くから見たときには簡単に思えた山の頂と、上り始めてから見る景色は違うのだろう。

 

そのアンビバレントな感情を、本作では『上京タワー』と『遠郷タワー』を対比することで表している。

 

上京タワー

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遠郷タワー

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答えのない矛盾を問い続ける

本作は、様々な矛盾と向き合いながら、それでも進むしかないと訴えかけてくる。

 

矛盾とは例えば、

  • 田舎から東京を見つめる『上京タワー』と東京から田舎を思う『遠郷タワー』
  • 金を稼ぐための「仕事」としての音楽を歌う『米』と「食っていくための音楽はやめた」と吠える『五文銭』
  • CMのためにオブラートに包んだ歌詞の『うぬぼれ』『いくつものいつもの』と自分をえぐり出す『スタミナ太郎』や『ストロンガー』

全てが嘘偽りないアフロの本心だし、全てが嘘臭い作り上げた自分でもある。そんなアンビバレントな感覚を抱えながら、アフロは生きていく。それが何とも人間臭く、心に響く。

 

人間はそんなに一貫性がある生き物ではない、と教えてくれる。

 

矛盾と向き合いながら、最後の『五文銭』へと繋がっていく。

 

五文銭

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どこへ?なぜ?どうして?

何をもってそこまで?

いつまで?誰のため?なんのために? 

追いかけ続ける問いかけの答え

答え... 

五文銭は、この言葉を繰り返し問い続ける。

 

アフロの中にも答えはないし、これからも答えは導けないのだろう。

 

彼らが掴んだ真相は「果てなき矛盾を問い続けるしかない」ということかもしれない。

 

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7月13日に日比谷野音のライブを観に行くので、楽しみです。

MOROHA IV(初回限定盤)(DVD付)

MOROHA IV(初回限定盤)(DVD付)