あたりまえブログ

凡事徹底をテーマにしている中小企業の後継者が「大学時代の自分に伝えたいこと」を書いています。

48期連続で増収増益を達成した創業社長が「成長しないことも社会貢献」と語る本質

伊那食品工業という会社をご存知でしょうか?同社は、寒天の製造で国内シェア80%、世界シェア15%を占める寒天の世界的トップメーカーです。1956年の創業から48期連続で増収増益を果たし、現在もなお継続的な成長を遂げている国内有数の非上場オーナー会社です。

 

現在も最高顧問を務める創業者・塚越寛氏は、一般的な経営理論と一線を画す独自の哲学をもっており、経営者の中でもファンが多い方です。トヨタの社長である豊田章男社長が塚越氏を「師匠」と呼び、幹部陣と同社を何度も訪れたことでも有名です。

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今回は塚越氏が「経営理念の集大成」と称する著作『いい会社をつくりましょう』から塚越氏の哲学を見ていきます。

[目次] 

 

会社の目的は「永続すること」 

塚越氏は、「会社の目的・価値は永続することである」と語ります。利益も成長も、そのための手段でしかないというのが氏の考え方で、「八の字経営」とも呼んでいます。

ゆるやかな末広がりの成長をつづけて、永続する企業であること。これが私の理想像です

着実な低成長を年輪のように重ねて永続することによってはじめて、会社と直接・間接にかかわる人々が幸せになっていきます。だから永続は価値があるのです。

 

成長しないことも社会貢献

塚越氏の考え方で面白かったのは、「無理のある成長をするな」「急成長するくらいなら売るな」と言っていることです。急成長を避けることには、どのような意味があるのでしょうか?

 

高度成長期からバブルの崩壊、失われた30年を経営の最前線から引っ張ってきた中で、塚越氏は目先の利益を焦った結果、大幅な人員整理や企業規模の縮小、倒産に追い込まれた企業の悲しい姿を嫌というほど見てきたと言います。

 

時代の寵児となった企業が衰退していく様を見て、会社をただひたすらに成長させることを善とするのは、間違っていると感じるようになったそうです。塚越氏は次のように述べています。

必ずしも、成長イコール全ではありません。とくに急激な成長は、いろいろなところにしわよせを起こしやすいのです。

企業の成長率は、企業の年齢や業界の状況などによって異なり、一定の理想的な数字はありません。ただし、会社の成長と社員の成長とが連動していることが肝心です。

大切なのは、その会社にとっての「最適成長率」を見極めることです。安定した成長を長く続けることにこそ、価値があるのではないでしょうか。最適な状態を維持・継続して、小さくてもキラリと光る企業を永続させていけたら、最高です。

企業の目的は雇用を創出することにより、人々に幸福をもたらすことです。雇用機会を生み出すためには、企業は一定の成長をつづけなければなりませんが、急成長でもマイナス成長でもない、安定成長を心がけるべきではないでしょうか。

  

自然に学ぶ「自然体経営」

塚越氏の経営理念に「自然体経営」というものがあります。それは「自然体でいる」ということだけでなく、会社経営を自然から学ぶという独自の視点があります。

 

①根を深く、そして広く張る

当社は寒天という一つの素材を研究しつづけ、深く掘り下げた結果、逆にさまざまな業界とつながることになりました。自然の姿に通じる無理のない経営、自然体経営の実践です。

 

②バランス経営

経営全体を、どこから見ても欠けた部分のないような、バランスのとれた樹木のような、美しい会社をめざしたいものです。経営者で、バランスのとれた経営を意識している人は、意外に少ないようです。

 

③年輪経営

私は木の年輪から、確実な低成長をつづけることの正しさを学びました。年輪は必ずできて、前年よりも少しだけ成長しています。これこそ、企業の自然体であり、あるべき姿です。すべてが無理なくバランス良く成長する姿が、企業の理想的な成長です。

 

④脱皮する経営

最適成長率は、一番低く設定するのが良いのではないかと考えています。いくつもの選択肢の中の一番低い成長の仕方を選ぶということです。低成長のもとでは、事業計画を具体的に描きやすいという利点があります。

 

急がば回れ

急がば回れ」とは、長期的な視野をもって、目先の効率を求めないということです。そして、二つのうちどちらかを選ぶときに、優しいよりも難しいほうを、遠回りに思えるほうを選ぶという意味です。 

 

今のスタートアップ全盛の時代に、塚越氏の考え方は逆行している、あるいは古臭いかもしれません。しかし、同族企業の後継者である私からすると、瞬間最大風速を叩き出した命の短い会社よりも「小粒でもコツコツと持続的な発展を遂げている会社」の方が魅力的だし、従業員も安心して働けると思います。豊田氏も同じようなことを考えたのではないでしょうか。

 

急激な成長を避けることは、欲が出るので難しいですが、塚越氏の哲学を自分と社員に浸透させていくことが重要だと感じました。 

 

私の評価

評価:B

A:殿堂入り

B:本棚に残す

C:買いだが、一度読んだら売る

D:図書館で流し読む

E:時間の無駄 

 

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