あたりまえブログ

凡事徹底をテーマにしている中小企業の後継者が「大学時代の自分に伝えたいこと」を書いています。

儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい(井上 和弘):資金流出を防ぐ「守り」の方法論

井上和弘氏の著書シリーズも5日目となりました。本日は2005年に発売された『儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい』です。

 

本書はこれまでの著書とは異なり、「守り」に重点が置かれています。たとえば、『稼ぐ商品・サービスづくり』は独自性のある商品・サービスの開発によってキャッシュインを増やす手法を取り上げました。本書ではキャッシュアウトを防ぐ、守りの施策について解説されています。特に「借金返済」「税金支払い」に対して策を講じることが非常に効果的だと井上氏は述べています。

  

[目次]

 

赤字決算にする理由

なぜ赤字にすると、会社は儲かるのでしょうか?

 

井上氏の答えは単純で「赤字決算にすると税金を払わなくて済む」と説明しています。確かにGAFAなどの世界的な大企業は、合法的な節税手法を用い、無駄なキャッシュアウトを抑えて成長してきました。井上氏は中小企業こそ納税によるキャッシュアウトに敏感にならなくてはいけないと主張します。

 

赤字決算で強い財務諸表をつくる

そうは言っても「赤字にするなんて大丈夫なのか?」と心配される経営者の方々も多いと思います。 

 

井上氏は、営業利益ではなく税前利益を赤字にするのであれば問題ないと断言しています。銀行が重視するのは営業利益(本業)であり、本業が黒字であれば、税引前利益が赤字であっても問題ないとのことです。そうすると、納税資金に充てるはずだった資金が手元に残り、キャッシュフロー(CF)が改善されます。手元に残ったキャッシュを返済資金に充てることで更にCFが 改善され、強い財務体質ができるというのが井上氏のロジックです。

 

税務対策 

では、どのように税引前利益を赤字にするのでしょうか?本書では「オフバランス」減価償却を活用することが推奨されています。 

 

オフバランスを活用する

ある程度の歴史がある中小企業は、バブル期に不動産を購入していることが多いです。当時は土地神話があり、経営者は値上がり期待で必要以上の不動産をこぞって買い漁ったそうです。そうした企業には、「含み損」を抱えた不動産が今も残っています。

 

オフバランスとは、こうした不動産を売却 or 除却することで3つのキャッシュを手に入れることを指します。

①売却代金
②中間申告で納付した税金
③来年以降に払うはずだった税金(繰越欠損金)

本書では他社(者)に売るのではなく、子会社に売却するケースも紹介されています。 

 

もちろん、不動産に限らず売掛債権や棚卸資産、などを活用してオフバランスすることも有効です。

 

減価償却を活用する

本書では減価償却、特に特別償却を活用することもCF改善において非常に有効だと書かれています。昨日ご紹介した『社内埋蔵金をお金にする知恵』でも書かれていたので、今回は割愛します。

 

借入金対策

井上氏は長年にわたり、一貫して「無借金経営」を推奨しています。勘違いされる方も多いかもしれませんが、本書でも「目的のない(会社の成長に繋がらない)借入はするな」と述べており、全ての借入を悪としている訳ではありません。しかし、不用意な借入は無駄なキャッシュアウトを増やすのみならず、万が一の事態に自社の首を繋がるというのが井上氏の主張です。 

 

借金を返済する

井上氏は、「オフバランス」や「減価償却」 によって得たキャッシュを活用し、繰り上げ返済をしていくことを推奨しています。返済することで、CFは一層改善されていきます。返済によって自己資本比率が改善され、タイトな財務体質を作ることができれば、将来の銀行交渉にも優位に働きます。

 

まとめ  

いかがでしたでしょうか。井上氏の主張は力強いため、「そんな簡単にいくものか?」と感じた方も多かったのではないでしょうか。なかなか他のコンサルタントや税理士には書けない内容になっているので、興味のある方は是非お読みください。

 

私の評価

評価:B

A:殿堂入り

B:本棚に残す

C:買いだが、一度読んだら売る

D:図書館で流し読む

E:時間の無駄 

 

儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい---会社にお金を残す32のコツ

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