あたりまえブログ

凡事徹底をテーマにしている中小企業の後継者が「大学時代の自分に伝えたいこと」を書いています。

講演「幸福経営学」(前野 隆司)を聞いて

先日とある会合の講演で、前野隆司さんのお話を聞く機会がありました。備忘のために、メモを残しておきます。

 

前野氏は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の教授で、「幸福学」を研究しています。

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(前野氏と著書) 

 

前野氏は元々、ロボット工学を専門にしていたそうですが、人の心や幸せというものに関心を抱くようになり、幸福感を研究テーマにしていったとのこと。今回の講演では、「幸福経営学」をテーマにお話いただきました。テーマへの反応に性差があるのか、男性は私と同様(笑)、半信半疑で聞いていた印象。一方、女性経営者の反応は中々良かったと印象です。

 

Well-Being経営

企業において、働く社員の「心身ともに良好な状態」を目指すことをWell-Being経営と呼びます。Well-Beingは、健康(体)や幸福感(心)を表す単語で、心と体が共に良好な状態であることが重要だという考えです。

米国のある調査によると、幸福感の高い人は、低い人と比べて創造性が3倍、生産性が1.3倍になるそうです。前野氏は、日本経済が比較的好調な今の内に社員の幸福度を高め、経済が衰退した時にも耐え得る組織を形成することが重要だと仰っておりました。

 

幸福感の持続性

前野氏によると、幸せには「長続きするもの」と「長続きしないもの」があるとのこと。長続きしないものは、金・物・地位など「地位財」に由来する幸せです。例えば、新しい車を買ったとしても、買った時の幸せを維持できる期間は一年にも満たないそうです。

一方、安心・健康・心など「非地位財」に由来する幸せは、幸福感が長持ちするとのこと。企業がいかに従業員に対して、非地位財を満たすかが重要とのこと。

 

幸せは「つくれる」

前野氏によると、ある行動をとるだけで人は幸福感を得られる、つまり「幸せはつくれる」ということです。例として三つを例を挙げていました。

①笑顔を作る
②上を向いて大股で歩く
③胸を張る

前野氏の研究室にいたある院生は、この3つを習慣化させることで、性格まで明るく、前向きになったとのこと。

 

心による幸せ(psychological well-being)の因子分析

前野氏の代表的な研究が「心による幸せ」の因子分析で、本研究では心による幸せを「4つの因子」に分解します。

 

自己実現と成長の因子

夢や目標を叶えた人、夢や目標を持っている人、努力し成長している人は幸せ。

一方、やらされ感で仕事をしている人は不幸。 

 

②つながりと感謝の因子

色々なことに感謝「する」人は幸せ、親切で利他的な人は幸せ、多様な友人を持つ人は幸せ。弱いつながりを多数持つことが重要。社会的課題解決のための活動(利他、ボランティア)に参加すると幸福度が高い。

一方、社内の関係に信頼・尊敬・フォローのない職場は不幸。

 

③前向きと楽観の因子

自己肯定感の高い人は幸せ、楽観的でポジティブな人は幸せ、細かいことを気にしない人は幸せ。

一方、自分に自信がない人、他人の悪口を言う人は不幸。

 

④独立と自分らしさの因子

人の目を気にしすぎない人、自分らしさを持っている、自分のペースを守る人は幸せ。

 

経営者は、従業員が上記の4つの因子を満たすような仕組みづくりを行うことが重要。特に日本においては、②のつながりと感謝の因子を意識した仕組みづくりがマッチするのではないか、というのが前野氏の意見。

 

 

以上が講義の内容です。私の勤めている会社の従業員幸福度は高いと感じますが、おそらく非地位財による幸せがある程度満たされているからなのでしょう。

 

参考までに前野氏の著書のリンクを張っておきますので、ご興味ある方はご一読ください。